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吉夢通信

吉夢通信

卯月によせて・・・。

2020年04月29日
posted by 吉夢 女将

新型コロナウイルスの感染拡大により、

日本はおろか、世界中が未曾有の危機にさらされております。

  

普段ならゴールデンウィークに入りまして、

私も気合が入り、館内人の動きで、活気のある時期ですが、

臨時休館という事になり、旅館業も厳しい状態が続いております。

今、春の房総、どこへ参りましても、花いっぱいが楽しめ、

季節も爽やかな、行楽には一番良い時期でございます。

昨年の9月の台風被害からの、修行ともいえる様々な事柄には、

全く持って手の打ちようの無い状態でございます。

  

人生、二者択一と、私はいつも捉えており、

少し歩くと分かれ道、そこで選択した道を歩いて行くと、

また分かれ道と、その様な事を常に繰り返して行くうちに、

60も半ばを過ぎ、今に至っていると言えます。

その時々に起こった様々な事に余り諍わず、

川の流れに乗るように生きて来たと、言えるのではないかと思います。

あの時・・・していれば良かった等は、余り考えた事は無く、

折々を精一杯、私なりに、天から与えて頂いた運命を、

踏ん張ってやって来たと、言えると思います。

 

それには、幼い時に父を亡くし、

嫁ぐまでの、20数年育てて下さった、信仰心篤い生家の母や、

やはり先代亡き後、女手ひとつで、旅館を盛り立て、

義母の智恵あるその姿を、30数年傍でずっと見させて頂いて来れた事が、

今の私の心の礎となっていると申して、間違い無いと確信しております。

  

ここまで脇目も振らずに走り続けて来て、

今この様な思いもしなかった時間を頂きまして、

これを次のステップに繋げるように、

良き選択が出来ますように、

今は自分をより深く見つめ直す、絶好の機会と捉えたいと存じます。

  

収束がみられた暁には、

疲れた皆さまの身体や心を癒せるのは、

温かな温泉と、美味しいお食事でお迎えする、

この宿泊・旅館業だと、強く自負しております。

八方手を尽くし、何がなんでも耐え忍び、

その日の訪れを、心待ちにしたいと、願ってやみません。

  

若草萌え、鯉のぼりは、青空にはためく、

大自然の営みは、日々怠ることなく・・。

今日も生かされ許され大きな感謝!!

  

 

  生きる  

      谷川 俊太郎 詩

生きているということ

いま生きているということ

それはのどがかわくということ

木漏れ日がまぶしいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ

くしゃみすること

あなたと手をつなぐこと

 

生きているということ

いま生きているということ

それはミニスカート

それはプラネタリウム

それはヨハン・シュトラウス

それはピカソ

それはアルプス

すべての美しいものに出会うということ

そして

かくされた悪を注意深くこばむこと

 

生きているということ

いま生きているということ

泣けるということ

笑えるということ

怒れるということ

自由ということ

 

生きているということ

いま生きているということ

いま遠くで犬が吠えるということ

いま地球が廻っているということ

いまどこかで産声があがるということ

いま兵士が傷つくということ

いまぶらんこがゆれているということ

いまいまがすぎてゆくこと

 

生きているということ

いま生きているということ

鳥ははばたくということ

海はとどろくということ

かたつむりははうということ

人は愛するということ

あなたの手のぬくみ

いのちということ

 

新型コロナ感染症の1日もはやい収束を、

皆さまのご健勝を、

小湊の海より、心から願い祈るものです。