blog

吉夢通信

吉夢通信一覧 女将

霜月によせて・・・。

2020年11月27日
posted by 吉夢 女将

朝夕は寒気がひとしお、身にしみる季節となりました。

小湊へ嫁いで、誕生寺のお山での、

万灯行進やお稚児行列がなかったのは、初めてでは無いかと。

勿論お寺では、今年も法要が営まれましたが、

勇壮な纏や豪華な万灯、笛、鐘、太鼓のお囃子も聞こえず、

可愛い稚児さんの姿も見られず、本当に、寂しいお会式となりました。

 

7月の末から、吉夢の館内は、連日お越しくださるお客様で、

大変賑わっており、「お世話になります!」と、入っていらっしゃるお客様を迎えられる幸せ、

笑顔でお帰りいただく様子を見て、こちらも日々、喜びを感じております。

コロナ感染拡大で、ご要望の更に多くなりましたお部屋食、

これも吉夢の強みの一つと、私は捉えておりまして、

100室をかかえる旅館で、3フロアをお部屋食に出来る宿は、

現在、早々無いと存じます。

  

それを可能にしておりますのが、客室係の頑張りの賜物、

重いものを連日、腰と足を使い、中腰でのお接客、

膝や腕、膝に、ダメージが来ない訳がありません。

皆、湿布を貼ったり、テープを巻いたり、それぞれが工夫して、

急場を凌いでおります。

 

フロント・事務所等の、他部所の社員さんも、

お食事前の夕方5時45分を過ぎますと、

それぞれご案内に、ヘルプにと皆てんでんに散らばってまいります。

調理場も、いわずもがな・・・、朝早くから、夜も遅くまで、

お客様にお出しするお料理つくりに、朝の仕込みにと、

皆黙々と働いて下さっており、その社員さんの頑張りの中で、

日々、私も身を置かせて頂いております。

 

吉夢の宝は?と聞かれましたら、『社員さん』と、私は即答いたします。

今年出来なかった慰労会、来年は是非ともやりたいものです。

人は石垣、人は城・・・いつの間にか、社長との合言葉のようになりました。

4時半を廻りますと、辺りはもうすっかり暗くなります。

日没が短いこの季節、お寒くなる前にどうぞ、お越しくださいますよう、

スタッフ一同心よりお待ちしております。

人は頑張った分、いやいやそれ以上に、笑顔になれるもの。

今日もたゆまぬ命に、生かされ、許され大きな感謝!!

 

カレンダーをめくりますと、後り1枚となりました。

今年は、2月よりコロナに始まり、

コロナに終わる、忘れられない1年となりました。

マスク警察、自粛警察等、沢山の言葉も生まれ、

私共も、気を緩める事無く、これからも、

社員の体調管理、館内の消毒、衛生管理を徹底してまいります。

1日も早いコロナ禍の収束を願うとともに、

常にお客様に耳を傾け、元気と癒しをご提供できますよう、

努めてまいりますので、今後も変わらぬご愛顧賜りたく、

伏してお願い申し上げる次第でございます。

神無月によせて・・・。

2020年10月26日
posted by 吉夢 女将

秋も深まり、野原は一面、

セイタカアワダチソウの黄色一色に、染まっております。

  

我が家は、庭のすだちの木から毎日、ジューシーになった実を、

数個取ってきては、朝のトマトジュースに入れたり、

秋の焼き魚にふんだんにかけて、楽しんでおります。

何しろ、健康第一!!

有り難い事に、GOTOキャンペーンで、

連日、お客様にお越し頂き、社長や私は、

吉夢の関所、玄関で一人も洩らさぬように、

消毒をお願いし、検温を行っております。

社員さんが、お越し頂いたお客様に、

毎日、懸命に接客している姿を見ますと、

老婆?の私も、モリモリと、力が湧いてまいります。

1年365日、共に働き、共に汗を流して、

吉夢を色々な場所から、支えてくれている社員さんには、

いつもの事ながら、有難いとしか、言いようが無い日々です。

 

只今、大変ご要望の多いベット対応のお部屋の増室へ、

まず、3部屋を皮切りにと、社長と、壁紙、畳、ベットを選びまして発注、

簡単プチリニューアル中でございます。

11月には完成予定で進めておりますので、

暫くお待ち頂けますよう、お願い申し上げます。

  

人生山あり谷ありと申しますが、

自分は小さい時より、気の休まる時が無かったと、

社長、数日前にも、漏らしておりました。

以前から何度も聞いているフレーズですが、

旅館に生まれ、育ち、学校と部活にいそしむ多感な中学生の時に、

先代の父は、病床で、日中旅館を切り盛りする、疲れた義母に変わり、

毎晩夜中に、トイレにお連れするのが、社長の役目で、

あの当時、トイレが部屋には無く、

眠い目をこすりながら、大きな身体の父を支えながら、

また、朝はお風呂の介助をし、登校したとの事。

高校生に入り、その父との思いもかけない死別を経験し、

長い休みには、布団上げに始まり、ありとあらゆる旅館の仕事に勤しみ、

もう既に運命は、この頃から動き始めていたのだと存じます。

   

人はそれぞれ、お役目を持って生まれ、この世は魂の修行の場。

その人しか分らない悩みや苦しみを、課題として持たされ、

それを毎日生きながら、最善の答えを導き出して行く。

最も相応しい、誰とも違う問題を、その人だけに、用意下さるので、

その問題をスルーして逃げても、また同じような問題が出て、

これはもう、逃げては通れない、

「ドスコイ!」と、受けて立たないとならないのだと。

やっと白髪も増え、年を重ねるごとに、少しづつですが、分かってまいりました。

 

宇宙の法則、営みは、優しく・・されど厳しく。

今日も、大いなるものに、生かされ導かれ・・大きな感謝!!

 

寒さが増してきますと、

一日の勤めを終え、夕陽は一段と鮮やかな光を放って、

山へと、消えていきます。

その神々しさに、思わず心で手を合わせ、

一日の御礼を申し上げて、見送ります。

「一日一生」

更なる魂力を鍛えて、山、谷乗り越えてまいります。

今月の荒了寛氏のカレンダー、本題にぴったりと、

我ながら、驚いております。

夜長月によせて・・・。

2020年09月28日
posted by 吉夢 女将

燃えるような熱い夏を過ぎ、いつの間にか、

すっかり秋空になってまいりました。

 

8月からのGOTOトラベルキャンペーンで、

週末や先日のシルバーウィークは、大変忙しくさせて頂き、

あれよ々という間に、9月も押し詰まってまいりました。

昨年の9月は、ご承知のとおり、房総半島を襲った大型台風により、

施設の破損、断水、停電を経験いたしまして、

秋の訪れを楽しむには程遠い、経験を致しました。

 

台湾からの研修生4名も、初めての夏の厳しい暑さ、忙しさを経て、

最近、一段と逞しくなったように思えます。

10月からは、ピカピカ着物デビュー!!

只今、和装小物や草履を購入し、

これから着付けもしっかり、学んで、

仕事の下地は、出来ておりますので、

沢山の経験を増やす事により、細やかな立ち居振る舞いや、

気配りも身について来ると、信じております。

教えるお姉さん方も、共に学び、より良い連鎖や絆が出来る事が、

今の、私の願いでもあります。

 

9月に誕生日を迎え、外でお婆さん等と声をかけられても、

きっと「あら、誰かしら、まさか私の事?」なんて、キョロキョロ周りを見渡すだけで、

ちっとも、理解出来ないと思われます。

70歳にも数年で手が届く年齢となり、

これからは、少しゆっくり周りを眺めながら、

歩いていけたらと。

そして、今までの人生で、

折々に出会えた方々との、ご縁を大切に、

頂いたご恩は、少しでもお返しして行きたいと。

『 ご恩は感じるものでは無く、返していくもの 』と、

実業家の渋沢栄一翁の書生をやられ、

旧古牧グランドホテル(現在の星野リゾート青森屋)の創業者、故杉本行雄社長様に教えられたと、

昔、青森出張から会長と帰り、社長から聞かされた、

この言葉が、それからの私の座右の銘、心の指針となりました。

恩を感じるとは、良く聞かれる言葉ですが、

この年になり、頂戴したご恩は、ご本人には当然ながら、

他の方にでも、返して行くものだと常に肝に銘じて、

日々を過ごして行きたいものと、心がけております。

 

秋の空は、どこまでも青く、高く、

今日も生かされ、許され、大きな感謝!!

 

何を食べても、何を呑んでも、

出てくる言葉は、一言「美味しーい」。

社長は、箸を置くと、前にあるステップ台に乗り、

トンタン!トンタン!と、小気味よくステップの上り下りが始まります。

ソファに横になったと気を抜いていると、突然、腹筋体操が始まる。

庭に出たと思っていると、素振りが始まる。

社長はスポーツの秋、私は豊穣の秋。

最近、我が家でも、生活のソーシャル・ディスタンスが、はっきりしてまいりました。

来月は、出来なかった健康診断の予備日・・いざ、数値はいかに。

葉月によせて・・・。

2020年08月26日
posted by 吉夢 女将

ここの所、朝夕吹く風が、秋の訪れを知らせ、

庭のつくつく法師は、行く夏を惜しむかのように、鳴いています。

 

今年の夏も、夢小路の小宴会場、阿うん、夢あかり、

清澄でのお食事会場と、全てを使用し、

お部屋出しの夕食は各階、精鋭の若い6名の客室係さんにお願いし、

ここまで大きな問題も無く、それぞれの会場で、

お食事をご提供出来ました事に、安堵しております。

 

8月1日から始まりました、連夜の花火、

昨年は、何度か天候不順の為、日延べとなりましたが、

今年は、天候にも恵まれ、

1日も休むことなく、それこそ連夜の花火となりまして、

「今年は、何処も花火が中止となり、こちらで楽しめました。」

と、多くのお客さまの、お喜びの声を聴かせて頂きました。

また21日にお迎えしたお客さまには、

「1日くらい、順延にはなりませんでしたか?」と、

そんな期待もなさりながら、お越し下さった、

微笑ましいお客さまも、おいででした。

 

コロナ感染症は、未だ衰えを知らず・・と言ったところで、

GOTOキャンペーンをお使いの、

大勢のお客様にお越し頂いておりますが、

ご承知の通り、まだまだ予断を許さない状態が続いており、

こちらも細心の注意をはらい、手綱を緩める事無く、

継続して、感染症対策にあたらせて頂きたいとの思いでおります。

「備えあれば憂いなし」

つきましては、玄関入り口の消毒、センサーに寄る検温等、

引き続きご協力の程、お願い申し上げます。

 

夏の大三角形の中に横たわる天の川、

今日も生き・・・そして生かされ・・・大きな感謝!!

 

本棚の隅に入っていた一冊の本が目に止まり、7月に読み返しまして、

何か人生の指針と言っては大げさになりますが、

これからの生き方を、また教えて頂けたようで、

いつ購入して読んだのか、全く覚えが無く、

それでも、その時気になった所に、赤い線が引かれておりましたので、

きっと読んだのには違い無いのでしょうが、すっかり忘れておりまして、

それから手元に置いて、何度も々読み返し、

自分に言い聞かせるように、読み込んでおります。

今の自分の心の声に、ずっぽしはまったようで、

8月の忙しい毎日を、気持ち明るく、元気に過ごせてたのも、

この一冊の本との再会のお陰だと申して、過言ではございません。

皆さまも、秋の夜長には少々はやいですが、

スマホをいったん横に置いて、如何でしょうか。

新たな出会いの一冊に、出会えるやもしれません。

七夜月によせて・・・。

2020年07月29日
posted by 吉夢 女将

未だ新型コロナが、猖獗を極めております。

 

GOTOキャンペーンも始まり、

週末は、大分お客さまが戻って来て下さっている事が、

感じられるこの頃でございますが、

やはり、以前のような7月ではございませんで、

私共だけに限らず、

どちらのホテル・旅館さんも、苦慮なさっていらっしゃる事と存じます。

 

新型コロナ対策としまして、

今まで、朝食も個人膳で対応させて頂いておりましたが、

お客さまからの、バイキングのご要望が多うございますので、

朝食のバイキング会場も、何度も検討を重ね、熟慮し、

料理長へも、無理をお願いして、今のご提供方法に落ち着きましたが、

今より良い方法が、少しでも見つかりましたら、

それは、会場だけに留まらず、

館内ドンドン改めて行こうと、考えております。

朝の私的なコンセプトは、

ぐるり千葉の味覚探訪、美味しい千葉グルめぐりとでも、

申しましょうか、地元食材、地産地消にこだわり、

千葉の強みであります、農業、漁業、酪農全てを、

食していただく!!を、テーマに、

厳選したものを、ご提供する事にこだわらせて頂きました。

個人膳をご希望のお客様には、

従来通りの料亭阿うんでの、朝食プランもございますので、

併せてご利用頂けます様、お願い申し上げます。

お泊り頂きました朝のひととき、

吉夢のご朝食で、1日の活力をお取り下さり、

ご出発頂けましたら、有難い事と存じます。

  

台湾からの4名の客室係さんも、学びながら実践もし、

途中コロナで、休館というアクシデントにも負けずに、

若竹のように、スクスク、伸び伸び?育っておりまして、

最近では仕事も覚えて、きっちりやって下さり、頼もしくなってまいりました。

新卒の4名も、頑張ってやってくれておりますので、

無くてはならない存在に、育って行ってくれるのが、

楽しみでもあります。

 

これからも、若い客室係の皆さんと、

私を含め、心は二十歳のままの、熟練の社員さんと共に、

スクラム組んで、この難局を乗り越えて行きたいと、

雨だれ石を穿つの諺通り、強く祈る今日この頃、

自然は優しくされど厳しく、今日も生かされ大きな感謝!!

 

先日、3月に戻ってまいりました息子と、

半年強の研修でお世話になる釧路のホテルさんへ、

ご挨拶に行ってまいりました。

空港に降り立つと、久しぶりの青空が仰げ、

何か心までスッキリとしまして、

雨も大切な事は充分承知しておりましたが、

お天気は、人の心も左右する事を、ここでも実感致しました。

 

来年、一回りも二回りも大きく成長した姿で、

再会出来ます事を楽しみに、

私も、息子に負けないよう、頑張るぞ!!と、

搭乗口まで送ってくれた姿に誓って、

帰路に着きました。